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就労問題-最近の動向-

『JDジャーナル』2000年05月

 労働省の調査によると、平成10年11月現在、全国の従業員規模5人以上の民営の事業所に雇用されている身体障害者は39万6千人(平成5年度34万4千人)、知的障害者は6万9千人(平成5年度6万人)であり、いずれも重度障害者の比率が高まったと報告しています。また、精神障害者は5万1千人(平成5年度2万3千人。てんかんを含む)となっています。
 この数字は、在宅の身体障害者の稼働年齢階層(18〜64歳)134万6千人の約29%にあたります。また、18歳以上の知的障害者の30万500人のうち約10万5千人が施設入所であり、在宅の稼働年齢階層を18万人(65歳以上と年齢不祥の一部を除く)とみると、約38%が事業所で働いていることになります。
 稼働年齢階層の身体障害者の施設入所は3万〜3万5千人程度と推計されますが、知的障害者の約3分の1強が施設入所という状況にあることを念頭において、これらの数字を吟味する必要があります。
 精神障害者については、平成5年の調査では精神障害者1万人、てんかんをもつ人1万3千人と発表されたのですが、今回は一括して5万1千人と発表されました。
 精神病者と精神障害を一体的なものとして規定し、このところ1年に50万人も増え、217万人という精神障害者数からみれば、まだ微々たる数です。わが国の現行の障害認定の制度からすれば、精神病者のうちリハビリテーションや福祉サービスを必要とする病者と、そうでない程度の病者の区分を設けなければ、精神障害者に関する諸統計は、もうひとつ信頼性に欠けるといえるでしょう。
 しかし、それらの問題は、今後の課題としつつも、この不景気の下で、とにかく雇用が進んでいるということは喜ばしいことであり、さらに今後の伸びを期待したいと思います。
 一方、一般事業所に雇用されることの困難な人々の就労場面では、障害者授産施設(社会就労センター)1,650施設で約6万5千人、また、無認可の共同作業所5,200カ所では約7万5千人の、合計14万人がきわめて低い工賃で就労(一部デイサービス)しています。今回の基礎構造改革の目玉のひとつである、障害者通所授産施設の規模を20名から10名に下げるなどの施策により、小規模作業所問題の解決が図られるのでは、という期待がありましたが、運営費補助の低い、もうひとつの授産制度を設けるという厚生省の意図が見えてきました。こちらは期待を裏切られるのか。そうならないように努力しなければなりません。

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