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身体障害者用グループホームの新設を

『JDジャーナル』2000年01月

 障害者の地域生活を進めるためには、いくつかの条件をクリアしなければならないということを、私はこれまでくり返し述べてきました。
 今回は福祉分野の住居のことにポイントをしぼって提起しておきたいと思います。 ご承知のように、一定のケアを付けた住居対策として、知的障害者と精神障害者にはグループホームの制度があります。このグループホームは、必要性からみればまだ少なく、増え方も足りません。しかし、相対的には増えていると言うことができます。
 もうひとつの制度は福祉ホームです。これは3障害共通の制度で、平成10年10月現在で合計200カ所(定員2,322人)設置されています。このうち99カ所(定員1,000人)は精神障害者福祉ホームで、知的障害者福祉ホームが67カ所(定員838人)です。残りの34カ所(定員484人)が身体障害者福祉ホームです。
 問題は、その増え方です。平成2年から8年間の伸びをみると、精神障害者用が年平均8カ所であり、知的障害者と身体障害者用はほぼ年間3カ所にすぎません。精神障害者の分野だけが多少増えていると言える状況です。
 この福祉ホームは入所施設であり、他の社会福祉施設と同じように整備費補助があります。また、一定の基準で公費補助による職員配置が行われています。では、なぜ増えないか・・・それは福祉ホームを設置するには土地を取得し、建築費の自己負担をするなど、他の社会福祉施設と同じ条件を整えなければならないためです。施設ですから、利用者の家賃は建築費の自己負担分の償却費以内に限定されます。したがって設置法人は土地取得の費用や運営費の不足分などを負担しなければなりません。その負担ができる社会福祉法人は少ないのです。福祉ホームは、社会的入院の多い精神障害者の分野では、とにかく病院より福祉施設へ、という切実さがあってまだ有効ですが、知的障害と身体障害の分野においては、時代に合わなくなっていると言えるでしょう。知的障害者は、施設ではないグループホームを望んでいるというのが現実の姿です。
 身体障害者の住居対策が欠落しているのです。福祉ホームは、制度はあっても現実的にはほとんど役立っていないのです。 身体障害者にも、グループホームの新設か、または例えば賃貸による『福祉ホームB型』を設けるなどの施策の具体化を求めたいと思います。
 公営住宅など総合的な住居問題については、別の機会にとりあげたいと思います。

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