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<時評>革命時代の21世紀へ

『コロニーとうきょう118・119合併号』2000年12月

 ひとつの世紀の終わりとはじまりというのに、なにか区切りがつかないというか、低迷と停滞の中に漂っているような気分で、新しい年を迎えた人も多いと思います。
 すでに始まっているIT革命の時代が本格化する21世紀に入ったというのに、この国は未だに旧い社会体制を温存し、引きずりながら、それに手をつけようともしないで、IT先進国をめざすと、政府は声高に言います。IT革命は単なる技術革命への対応と理解されているとしたら、それは大変な誤りです。
 この革命は社会制度全体に大きい変革をともなうものであります。農業社会から産業革命(物づくり社会)を経て、IT革命(知識社会とも言う)への、ひとつの時代の終わり、新しい時代のはじまりであります。政治・経済・社会・文化のあらゆる面で、すでに構造的な大変革が起こりはじめています。
 物づくりの時代から、ITの急速な発展を先導役とした知識社会への移行であります。
 国の経済政策も、従来の手法による景気対策では効果が上がらなくなっています。消費動向が変っているのに、消費の上昇や設備投資にウエイトをおいた景気対策が進められ、失敗を続けています。
 政治もその体質の旧さを露呈し、時代の流れから取り残された姿を国民の前にあらわに見せています。政府・与党への支持率の低さだけでなく、野党への支持率も低いという国民の意識は、政治家全体の不信を反映したものとみるべきでしょう。

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 農業社会では、仕事も生活も家族を単位として行なっていました。産業社会に移行して、人口の都市への集中が始まり、核家族化が進む中で、家族中心から個人中心の社会へ制度的にも移りました。欧米はそのような変化を遂げました。
 わが国は明治維新によって産業社会に移行し、工業化が進む中で最初は農家の後継者とならない次・三男が都市に移動したが、戦後の高度成長の時代に、急激な人口移動(都市集中)が起こり、核家族化が進んで、実態のうえでは個人中心の社会に移行しました。
 しかし、旧い家族制度はそのまま温存し、社会的に弱い人々がそのしわ寄せを受けて、苦しんでいます。また、家族が大切だといいながら、一方では単身赴任などがあたりまえのように行われています。
 血族と家族の関係を同一にしたままで、制度的な近代化が進められていないのです。 私が政治や経済について述べたり、時代と乖離した社会制度について問題を提起せざるを得ないと考えるのは、障害者問題、その中の東京コロニーの事業などと深く関わっているからです。自分たちで道を切り拓いていかなければ明日が見えないことを痛感するからです。
 家族介護から社会介護制度への転換を図るものとして私たちも評価して賛成した介護保険制度も、応益負担の原則を取り入れたことで、現実には負担が増えて、低所得者は、介護の質も量も低下していますが、この問題も、個人としての尊厳とか、人間の幸・不幸についてもう一度問い直し、現実的な改善を進めていくことが必要です。
 知識社会(IT革命)における人間の生活のあり方を、心豊かな生活の実現に目標をおいて、総合的な計画を策定して強く推進することを国等に求めたいと思います。 障害者問題もIT革命が進む中で、これを社会の変革と正しく受けとめて、将来を見つめながら、従来からの施策や制度の改善・充実、残されている課題の実現に向けて努力しなければならないと思います。

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 新年度は、平成15年度から実施される措置制度から契約制度への移行の具体的方針が定められます。
 授産施設の場合は、とくに問題が多く、なぜ利用料を払うのかという問題をはじめ、多くの問題があります。関係団体はしっかりと対応しなければなりません。

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