Topic! セミナー開催報告
「障害のある人のテレワーク 今、新しい潮流を迎えて」
去る11月25日、品川のマイクロソフト社のセミナールームにて、障害のある方を対象としたテレワークについてのセミナーを開催いたしました。
生産性向上にとってテレワークは切り札の一つですが、大切なのは、誰にとっての効率アップか。その中心は働き手であるか。通信環境や支援機器が高度化し、障害の重い方の労働や遠隔雇用が可能になった今だからこそ「人を大事にしたテレワークを考えたい」と、強い思いでテーマを掲げました。主催は、東京コロニーを含む全国8つの支援団体で一昨年立ち上げた「全障テレネット」です。
セミナー開催の発端は内輪の勉強会でしたから、せいぜい50人程度の来場が目標でしたが、蓋をあければ会場定員を超す80人以上がお越しになり、お断わりをした方もかなりの数となりました。
基調講演は、「超短時間勤務」の提唱が話題の東京大学先端科学技術研究センター近藤武夫先生にお願いし、その具現の一つである「改正障害者雇用促進法」について、厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課の井上量専門官に分かりやすく説明をしていただきました。
その他にも、全障テレネットのメンバーや私ども職能開発室の講習修了生さんがずらりと並んだシンポジウムも白熱。これまで生活支援がニーズの中心と思われていた方々が「働きたい」と口にできるようになってきた今、それをどう支えていくのか。
制度の不整合の中で、小さい流れが大きくなっていることを感じました。
時間が足りず、今後深めていかなればならないことだらけでしたが、個人的には、時代と逆行しても、「テレワークとインクルーシブ」について考え続けたいと再確認できた貴重な日でした。
(堀込)
障害のある人の在宅就労事例
「週に3日のシステム作業。自分自身を把握して、自分仕様のテレワーク」
木村 智之さん
(筋ジストロフィー1種1級)
富士製薬工業株式会社 経営管理部
経営管理グループ システム統括課
所属 | 富士製薬工業株式会社 経営管理部 経営管理グループ システム統括課 |
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就労開始時期 | 2018年1月 |
就労形態 | 在宅勤務 |
就労時間 | 火、木、金曜日 9:00~17:00 |
就労内容 | 社内グループウェアの改修作業 |
打ち合わせ | メール、チャット、出社 |
PCの支援機器 | スクリーンキーボード |
当法人の「IT技術者在宅養成事業」の34期生、木村智之さんの登場です。昨年1月に初めての就職をされてもうすぐ2年。静かな語り口に、グッと大人になられた木村さんの熱い思いが垣間見えました。
主に社内グループウェアやシステムの改修作業や、それに付随した社員からの問い合わせ対応です。期のスタートにあわせてシステムのカスタマイズや不具合の修正をするのが主ですが、使い方の質問などにも応じます。
打ち合わせはメール、チャットが多いですね。日頃の細かい連絡は、Microsoft Teams(チームス)というチャットツールでやりとりします。メールだと大きな話題でないと送らないですが、チャットツールですとハードルが下がって一言二言でも送りやすい。
課の人とはできるだけ情報共有できるよう、「ここまで聞く必要ある?」ってことも 思い切って聞くようにしています。
そうです。月曜と水曜はオフで、火木金に働きます。オフは、体を休める他にも、通院や買い物、サッカーなどに充て、体力や精神面で長期に安定した働き方を目指しています。
わたしは筋ジストロフィーという障害で長時間の座位はきついので適宜リクライニングで休みながら業務に当たっています。一度体調崩すと体調回復に時間がかかるため、自分がどれだけのことができるのか。知力、体力。自分なりに把握するようにしています。
期の変わり目は、担当しているグループウェアの改修作業量が増え、通常業務以上に力を使います。でも、専用ツールで画面のインターフェースを修正する過程など、細かい作業好きの自分にはさほどストレスにはなりません。それより、対応したトラブルが解決できたとか、対応してもらってよかった、という話を聞くと、やりがいを感じますね。
大学時代、障害に関係なくやりたいことを学べたことでしょうか。また、そのために必要な調整は自分で全てやらなくてはいけない環境にあえて出た、ということも大きいと思います。言わなくても誰かがやってくれるではダメ。出来ること出来ないことを人に伝えていかなければ。今思えば、このことが今日につながっています。
ITの部署にいるかぎり、情報処理資格のサイトを参照し、これまでの知識を忘れないようにしたいですね。また年々広がっていく技術、例えばAIなど、取り残されないよう研修など受けたいと思っています。
在宅パソコン講座を受けている方たちには、仕事をしたいという強い思いがあると思います。もし、この先働き始めても、働く前のその気持ちを忘れないでほしい。苦しいことがあっても、前向きに勉強や準備をしていってほしいです。(終)
2020年度IT技術者在宅養成講座 募集のお知らせ
◆2020年度IT技術者在宅養成講座 募集
私ども職能開発室では、1989年より、身体に重度の障害や疾病を持つ方を対象としたIT技術者在宅養成講座を実施しております。自宅にいながら、就労に必要な情報技術を学べる講座であり、社会性やビジネスマナーの習得も目標としています。
来年度も受講生募集の運びとなりましたので、講座概要、並びに申込方法と募集スケジュールをご説明いたします。
<講習期間>
2年間(2020年4月~2022年3月)
(夏期休暇1か月、春期・冬期休暇各2週間あり)
<講習方法>
1日4~6時間、週4日以上の在宅学習を中心に、訪問指導や集中講義を通して実践的な演習を積み重ねていきます。
<受講申込方法>
受講申込方法の詳細については、『東京コロニー職能開発室』Webサイトをご参照ください。
https://www.tocolo.or.jp/syokunou/kyoiku/boshu_2020.html
受講申込みに際して各種要件がございます。ご確認の上、ご応募のほどお願いします。
<募集スケジュール>
受講申込み希望の方は、本年12月17日(消印有効)までに必要書類の郵送をお願いします。なお、郵送が難しい場合、電子データでの受講申込みも可能です。来年度の募集スケジュールは、以下の流れで進めてまいります。
その他、募集に関しての質問などは東京コロニー職能開発室までご連絡お願いします。
(受川)
●お問い合わせ先
電話:03-6914-0859 FAX:03-6914-0869
シリーズ第34回 東京都障害者IT地域支援センターだより
― iOSとAndroid ―
スマホやタブレットがどんどん普及していく中、当センターのご相談もそうした機器のご要望がパソコンを超えるほどになりました。
センターではAndroidよりiOSのご紹介が多くなりがちです。それはなぜでしょう?。iOSはどのiPhone・iPadでも同じ機能が同じ操作で出来ることに対して、Androidは端末によって操作方法が異なることに起因します。ご相談者様のAndroidとセンターのAndroidの機種が違うと、出来ることが違ってくるのです。それゆえ、確実性を鑑みると、どうしてもiOSのご紹介が多くなりがちです。
●iOS
2019年9月末にiPhone用のiOS13とiPad用のiPadOS13が同時にリリースされました。
iOS13は画面の基調を黒にできるので、目にもやさしく、周囲に光が漏れにくいうえバッテリーの節約にも貢献。アクセシビリティのAssistiveTouchの機能の一部として、Windowsマウス操作も出来るようになりました。マウスが使えたら…と思っていた方には朗報ですね。
●Android
同じく2019年9月にAndroid10がリリースされました。なんとこちらも、目とバッテリーに優しい「ダークテーマ」が目玉機能です。
操作面では、「ジェスチャーナビゲーション」という機能がつき、画面の下部のホームボタンと戻るボタンが消えて、操作はスワイプで素早く行えます。
音声付きデジタルコンテンツの情報を、耳の不自由な人に伝える手段として「Live Caption」を搭載。スマートフォンで再生されるあらゆる音声を、リアルタイムで字幕化する機能です。
(現在は英語のみ、近々で日本語にも対応)
アクセシビリティも多様化し、何が自分にとってベストか色々と試せる便利な時代になってきました。
(下澤)
●お問い合わせ先
電話 03-6682-6308 FAX 03-6686-1277
おめでとう
就職おめでとう
株式会社テレビ朝日クリエイト 様
K.Mさん 障害者手帳2種1級
(IT技術者在宅養成講座 35期生)
三菱商事太陽株式会社 様
T.Tさん 障害者手帳1種1級
(IT技術者在宅養成講座 11期生)
資格取得おめでとう
マイクロソフトオフィススペシャリストWord2013
合格!
Y.Aさん 障害者手帳1種1級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)
ITパスポート試験
合格!
H.Tさん 障害者手帳1種3級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)
O.Mさん 障害者手帳1種3級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)
I.Nさん 障害者手帳1種1級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)