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■障害のある人の在宅就労を考える
トライアングル
機関紙『トライアングル』は三菱商事株式会社様のご協力により発行しております。

Vol.66 
CONTENTS 2017.11(平成29年)

■ Topic
「在宅就労中もヘルパー使えるようにして!」
―厚労省に要望にまいりました―

■ 特集 国際福祉機器展
―スタッフによる「見つけた!、この一品」―

■ IT技術者在宅養成講座
―平成30年度『IT技術者在宅養成講座』 受講生募集―

―「35期生 スクーリング」―

■ シリーズ 障害者IT地域支援センター便り 第28回
― 平成29年度IT支援者養成研修【出張型】募集中 ―

■ おめでとう(資格取得、就職)

 去る8月9日、わたくしども職能開発室は、社会福祉法人やNPO法人などの8団体からなる「障がいのある方の全国テレワーク推進ネットワーク」(全障テレネット※1)の一員として、制度の見直しを求め、厚生労働省に要望書を提出いたしました。

 現行制度では、自宅で働いている時間は収入があるとして、基本的に訪問介護サービスを利用できず、就労継続支援A型などの就労系サービスを利用して自宅で働く際も、サービスの併給になるとして、これまた介護サービスは認められていません。

厚労省での写真

※『福祉新聞』より
https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/16941

厚生労働省にて

右手、厚労省の方々。左手、奥から、かがわリハビリテーションセンター様、札幌チャレンジド様、東京コロニー の面々

 こうした利用制限により、働くことを諦めたり、家族が代わりに支援せざるを得なかったりしている現状があります。いくら、政府が“働き方改革”でテレワークを推進していても「就労かヘルパーか」の二者択一では、「重い障害があっても能力を生かして働ける社会」にはほど遠いでしょう。
わたくしどもの在宅講座の受講生さんや修了生さんの顔を思い浮かべると、その多くの方がこの対象になっており、喫緊の課題であることがわかります。
担当部署様には早急の調査をお願いしたく思います。

実は、東京コロニー職能開発室が当課題で厚労省に要望を持参したことはこれまでも数回ありました。

http://www.tocolo.or.jp/syokunou/triangle/vol62/vol62.html#04
(Vol62、2015年)

しかし、今回は単独でなく、全国の信頼できる仲間と1つになって思いを提出することができました。
心強く、力が湧いてくるのを感じました。 

(堀込)

※ 全障テレネット
障害のある方のテレワークに関わる支援を長年行っていた団体が集結し、より積極的なテレワーク推進を目的として、全国的なネットワーク組織を発足(2017.6)。団体メンバーは、北海道、関東、中部、中四国と広域であり、かつ、組織の形も、非営利、企業、第3セクターなど多様であるのが特徴

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 皆さんは、9月末に3日間に渡って東京ビッグサイトで開催された「H.C.R 2017」国際福祉機器展に参加されましたか?。あらゆる道具や資料が満載のこの展示会、1年分の情報が得られると言っても過言ではありません。
今号は特別に、福祉機器展に参加したスタッフの独断による「見つけた!、わたしのこの一品」をご紹介することにいたしましょう。

国際福祉機器展の写真


NO1.スタッフU(男性)スタッフU

製品名:UDトーク シャムロックレコード社 価格:無料(有料バージョンもあり)
音声認識・多言語翻訳・読み上げといった機能を持つスマフォ用のコミュニケーション支援アプリです。しゃべった言葉をタブレットなどに表示し、聴覚障害を持つ方等との意思疎通に役立ちます。来庁者への負担軽減のために導入した自治体もあるとのこと。高齢者や外国人の方との対応にも役立ちそう。 UDトークの画面

NO2.スタッフS(女性)スタッフS

製品名:メガネ型ウェラブル機器 メーカー:未定 価格:未販売
今話題のメガネ型ウェラブル機器が数種類。OTON GLASSとbeyond glassを試してみました。
メガネを掛けて見たものをそのまま読み上げてくれたり、映画字幕をメガネに映し出してくれたり、ナビアプリを使い道案内のコンテンツを表示してくれたり。ハンズフリーで『視覚代行』や『視覚拡張』をしてくれる未来のメガネがもうすぐそこまで来ていました。
メガネ型ウェラブル機器の写真

NO3.スタッフK(女性)スタッフK

製品名:アマゾンダッシュボタン アマゾンジャパン 価格:本体価格は500円
会期中「身の回りにあるテクノロジー(アルテク)が支援技術に変わる」と題された講座の中で紹介されていた番外編情報です。ボタンを押すだけで注文完了、翌日に商品が届くアマゾンの新サービス(小型端末)が日本にも上陸しました。Wifiを経由、設定や通知はスマホを利用。高齢者や障害のある方にも簡単に使えるアイテムです。 アマゾンダッシュボタンの写真

NO4.スタッフH(女性)スタッフH

リボ2(RiVo2) メーカー:未定 価格:未販売
スマフォやタブレットの外付けキーボードになる携帯電話。2年前に一度販売終了した製品の後継機。名刺大の大きさで、スマフォの操作・文字入力・音楽再生などが簡単にできる。視覚障害の方など、凹凸の無い液晶ディスプレイの操作が難しい方々に便利。デザインも可愛い。 リボの写真
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 来年度の『IT技術者在宅養成講座』募集が開始となりました。
在宅に居ながら2年間で就労に必要な技術を学べる当講座は、これまで100名余の方が修了しており、様々な方面で活躍しておられます。

▼こんな方におすすめ

・ 大学や専門学校等でITを学びたかったが通学が難しく断念した方
・ 社会経験が少なくビジネスマナーや仕事の進め方も含めて学びたい方
・ 就労に必要な技術を基礎からじっくり学びたい方
・ 情報処理試験(国家資格)やオフィスなどの資格取得を目指してみたい方

締め切りは、
2017年12月19日(当日消印有効)

募集詳細は以下URLでご確認下さい。
http://www.tocolo.or.jp/syokunou/kyoiku/boshu_2018.html

 早いもので『IT技術者在宅養成講座』35期生が入学して半年が経過。講習生は、障害のため身体が思ったように動かない状況下でも諦めず、慣れないIT用語と悪戦苦闘しながらもパソコンを操作し、日々学習に勤しんでいます。

 去る10月18日、“1年生後半オリエンテーション”並びに“テスト項目スクーリング”が同日開催され、35期生4名が参加いたしました。残る1名は体調不良のため欠席となりましたが、久しぶりに学友と会うことができ、皆嬉しそうでした。スクーリング開催時には講義開始前に昼食会を用意しており、ただ講義を受けるだけでなく、講習生同士交流を深める時間を設けています。普段は自宅学習で他者と触れ合う機会が少ないため、こうした時間を大事にしてもらえたらと思います。

◆1年生後半オリエンテーション
 入学以来、全員が1年次共通コースとして同じ科目を学習しておりましたが、10月中旬よりコース別学習に移ることとなります。各々、将来希望する仕事・目標に向けてコース選択し、より深く学習を進めていきます。どのように学習を進めていくか、講座終了までのスケジュールも含めて講習生に説明いたしました。

◆テスト項目スクーリング
 「テスト項目とは何ですか?」と、講習生数人から質問が。初めてIT用語を学ぶ講習生でなくとも知らない方も多いかと思います。製品を規定した品質目標に到達させるものと言ったら良いでしょうか。簡単に言うと、「品質を高める」ためのもの。プログラマコースを選択した講習生(製品を開発する側)はもちろん、アプリケーションコースを選択した講習生(製品を扱う側)も含めシステムに関わる全職種に理解してもらうためのスクーリングです。講義は演習含む座学形式で行いましたが、講習生たちから「難しい」といった声もあがり、なかなか高度な内容だったようです。
今後、品質の高い製品を開発、あるいは扱っていくために、今回学んだことを活かして今後の学習・就労に役立ててもらえたらと思います。

(受川)
テストで悩む人

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ITC29
コース テーマ 講座概要 主に対象となる障害特性
コース1 コミュニケーションを支える コミュニケーション障害をカバーする会話補助的な支援技術 (意思伝達装置を除く) 聴覚障害
発達障害
言語障害 等
コース2 意思伝達を支える 意思の表出が困難な方のための意思伝達を中心とした支援技術 ALS、脳血管障害の後遺症等の意思伝達、意思表出が難しい方
コース3 操作困難を支える 物理的な操作に困難さをかかえるケースでの支援技術 上肢障害(肢体不自由)
コース4 見えない、見えづらいを支える 視覚的な困難さをかかえるケースでの支援技術 視覚障害(全盲、弱視)
コース5 理解、認知、記憶を支える 障害や疾病により、理解や認知、記憶等に困難さをかかえるケースの支援技術 発達障害
高次脳機能障害
知的障害、失語症等

 当センターでは、都内のIT基盤整備事業の一環として、障害者のIT支援関係を担当する区市町村職員・福祉センター・就労支援センター等の地域支援者様向けに「IT支援者養成研修」を実施しております。上半期の集合研修は、当事者の方の講義や実機を使っての体験などが大変好評のうちに終了いたしました。下半期は、上記コースから一つ選んでいただき、スタッフが器材を持って皆さまの所に出張いたします。

 講座の中ではiPadやiPhoneのOSアクセシビリティも出てまいります。新しいバージョンiOS11は、カメラでのQRコードの読み取り、電話の自動応答、緊急SOS機能等欲しかった機能が満載です。出張研修、お早目のご予約をお待ちしております。

(下澤)

※ 詳細はこちらを。
http://www.tokyo-itcenter.com/500jigyo/it-kensyu-2017-goout.html


●お問い合わせ先
東京都障害者IT地域支援センター
〒112-0006 文京区小日向4-1-6
電話 03-6682-6308  FAX 03-6686-1277
Facebookページ
https://www.facebook.com/tokyoitcenter

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資格取得おめでとう

  

IT パスポート 合格

 

 K.M さん  障害者手帳1種2級
 (IT技術者在宅養成講座 受講中)

おめでとう
  
編 集 後 記

 群馬大学付属特別支援学校では、高校3年時に参加する 「ハワイ・ホノルルマラソン」を目標に、ランニングや ウォ−キングを日課として続けているそうです。
 体調を考慮しながらコツコツ続けることは、どれほど大変なことでしょう。今年は友人の息子さんが挑戦するので、自分のことのようにドキドキします。
 当センターでも時折、特別支援学校の皆さんのご見学やご相談を受ける機会があります。それぞれの挑戦がよりよい未来に繋がりますよう、心から応援したいです。

(加来)

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