■「障害者差別解消法とパブリックコメント提出「誰しもに公平な資格試験を」
■障害のある人の在宅雇用事例 鹿久保 芹菜さん
「自分の努力は、自分で形に残したい」
■シリーズ第25回 東京都障害者IT地域支援センター便り
― 視線入力が身近に 「miyasuku EyeCon」新登場!
Vol.63
CONTENTS 2015.11(平成27年)
■「障害者差別解消法とパブリックコメント提出「誰しもに公平な資格試験を」
■障害のある人の在宅雇用事例 鹿久保 芹菜さん
「自分の努力は、自分で形に残したい」
■シリーズ第25回 東京都障害者IT地域支援センター便り
― 視線入力が身近に 「miyasuku EyeCon」新登場!
2006年12月に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」は、我が国においては2014年1月20日にその批准を迎えました。障害者に関する初の国際条約です。
原則の一つは「障害に基づく差別を無くすこと」。2013年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」)が成立し、2016年4月より施行される運びです。
この法律は行政機関に「合理的配慮」を義務化しているため、内閣府をはじめとする各省庁ならびに関係機関は基本方針を策定し、施行に先立ってこのたび広く意見(パブリックコメント)を募集いたしました。
わたくしたち職能開発室は、IT講習事業で最も関係の深い「独立行政法人 情報処理推進機構」に対し、情報処理技術者試験(国家資格)の実施過程についてコメントを提出しております。
これまで重い障害や疾病のある受講生は、試験会場への移動の大変さに加え、試験実施の過程においても受験環境に大きな困難がありました。理解度の高い人でも合格できないという不利は、十分な力が発揮できない悔しさを残すと同時に、そのまま就職等の不利にもつながる問題を抱えていました。
これまでも度々「意見書」は当局に提出してまいりましたが、「障害者差別解消法」ができたこのタイミングこそ、やっと「意見」が具体的に「現実」に前進していく日が来たのだと確信しています。
配慮措置に係るコスト的な問題など懸念されることもありますが、すでに民間の資格試験で達成できているポイントも多く、決して「非合理」なレベルではないでしょう。
障害のある人のIT教育に携わってきた法人の責務として強く言及していきたいと思います。
(堀込)
鹿久保 芹菜さん
(脊髄性筋萎縮症1種1級:車いす利用)
(IT技術者在宅養成講座2014年度修了)
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はい、現在は請負の形で、義肢装具の事業所の事務を担当しています。お客様の装具製作に関する情報(個人情報を抜いたもの)が手書きの状態で届くので、それをパソコンで書類におこしていきます。 完成した書類はメールで送って、担当の方に確認していただき、OKの場合は次の仕事を、修正が必要な場合は、指示されたとおりに書式変更などを行います。仕事は主に午前中2時間程度。午後は訪問看護や、入浴サービスなどにあてています。
今まで手書きの文字を見る機会が少なかったので、それを読み取る時はちょっと大変です。アルファベットが混在する製品型番とか、専門用語もあります。でも、慣れてくると、1枚1時間で仕上げられるようになりました。 注意するのは消費税などの計算。講習の課題ではないので、決して間違ってはいけない。簡単なことでも「大丈夫?」って何度も確認します。責任を強く感じます。 気分の切り替えはジャニーズの曲やラジオを聞くこと(笑)。休日は映画にも。
障害は脊髄性筋萎縮症で、筋肉が衰えていく病気です。学校時代は、通学は週1回程度、週2回は先生の訪問授業でした。でも文化祭の実行委員長のお役目も果たし、学校生活はエンジョイしました。 わたしは、日常をベッドで過ごし呼吸器も利用しますから、進路の先生に「卒後はどんな道があるでしょう?」と相談しました。「働くにはITの活用だ」と感じ、指の小さな動きでWindowsを操作できる方法(★注1)を習得しました。ですから、先生から在宅でITをみっちり学べる「東京都IT技術者在宅養成講座」のことを教えていただいた時は、迷わず選択しました。情報処理はもちろん、講師とのやりとりからはビジネスコミュニケーションを学び、大量のテキストからは集中力を身に付けました。
2年間の講座での学びもそうですが、努力したことを自分で形に残したいと思いました。仕事をすることについては、いつも支えてくれている家族の役に立ちたい、という強い思いもあります。仕事をいただけた時は本当にうれしかったです。心から感謝しています。 先日初めて仕事の報酬をいただきました。うれしくて、しばらくお金を眺めてしまいました。大切に使わせていただきたいと思います。
まずは自分を信じることでしょうか。「仕事をしたい」という気持ちをアピールし続け、あきらめない。 そして、前を向き、目標を持ち続けて下さい。立ち止まらず、できることから始めてみてはどうでしょうか。
この取材の編集中に、国家資格である情報処理技術者試験(ITパスポート)に合格した、と鹿久保さんから嬉しいお知らせをいただきました。また一つ、努力を自分で形にされました。まさに、「前を向く、目標をもつ、できることから始める」なのですね。インタビューは仕事ができる喜びにあふれており、わたくし自身、帰り道に思わず、「なぜこの仕事を選んだんだっけ」などと久しぶりに考えてしまいました。 「1億総活躍」は、その人の歩幅で歩けることが保障されること。量ではないのですね。
(堀込)
「パソコンの操作やコミュニケーションを“視線”でできる方法はないか」というご相談が増える中、当センターに新製品が仲間入りしました。
その名も「miyasuku EyeCon(みやすくアイコン)」。市販の視線入力装置(Tobii EyeX)を利用することで、Windows操作や文字入力、文字盤を使ったコミュニケーションが目の動きで可能となります。会話が困難な方にとっては意思伝達システムですね。
デスクトップに、左クリック・右クリック・ドラッグ・スクロール・文字盤などの絵のアイコンが並び、それを注視することでWindowsを自在に操作。クリックモード中は視線の先の画面が拡大されるので、小さなボタンも扱いやすく、WEBの閲覧などに優しい設定となっています。
お求めやすい価格も魅力的。購入についての詳細は、下記の販売元のユニコーン様までお問い合わせください。
お試しは、当センターにご来館ください(予約必要)
(今津)
●お問い合わせ先
東京都障害者IT地域支援センター
〒112-0006 文京区小日向4-1-6
電話 03-6682-6308 FAX 03-6686-1277
Facebookページ
https://www.facebook.com/tokyoitcenter
私どもが実施する「IT技術者在宅養成講座」では現在次年度からの34期生を募集しており、お電話などで質問やご相談を受け付け中です。ここではその代表的なものをご紹介させていただきます。
本講座の選考の際に行う適性試験は、合否を得点によって決めるためのものでは無く、あくまでも基礎学力を知るためのものです。
といった検討を踏まえて、受講者を決定いたします。適性試験はその為の一つの情報でしかありませんので、あまり気負うことなく取り組んで下さい。
本講座の目的は、将来「在宅就労を目指す」というところにあります。そのため、自由な時間に学習に取り組むタイプの通信教育とは異なり、将来の就労の生活リズムやメールコミュニケーション(報告・連絡・相談)を念頭に進めるしくみです。
したがいまして、基本的には平日の企業活動時間である9:00〜18:00の中で、学習スケジュールを組んでいきます(1週間あたり22時間程度)。
これは、学習カリキュラムをこなすためのスケジュールであると同時に、在宅就労を意識したシミュレーションと捉えていただければ良いでしょう。大事なことは、テキストや問題集を理解することだけでなく、生活リズムの安定や報連相の継続を目指せるかという点です。
就職は、求人があってこそ成り立ちます。その時々の求人のタイミングや、求人内容が求めている就労準備度に達しているかどうかという状況もありますので、個人差があり、必ず仕事紹介をお約束できるものではございません。
ただし、カリキュラムの中にはビジネスマナーや模擬就労といった、実践を意識した内容が組み込まれており、2年をかけて就労準備度を高めてまいります。これまでの本講座修了生の方々の在宅就労事例などをご参考にしていただければと思います。
(在宅就労事例をご参考下さい)
募集説明会 |
2015年12月2日(水) |
申込書類送付期限 |
2015年12月22日(火)(消印有効) |
適性試験 |
2016年1月20日(水) |
面接(適性試験合格者のみ) |
2016年2月3日(水) |
総合判定 |
2月中旬 |
(山崎)
<資格取得おめでとう> |
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ITパスポート試験(国家試験) 合格 |
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O.S さん 筋ジストロフィー 1種1級 |
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K.R さん 筋ジストロフィー 1種1級 |
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S.S さん 脊髄性筋萎縮症 1種1級 |
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マイクロソフトオフィススペシャリストWord合格 |
先日、今春卒業された生徒さん達と久しぶりにカラオケへ。4時間半歌い続けてラストに皆さんが選んだ「さくら(森山直太朗版)」は、修了式の時にサプライズで歌ってくれた歌でした。一人ひとり自宅で練習してくれたという当時の裏話を思い出し、ネオンの部屋で涙腺が緩みました。
(堀込)