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■重度身体障害者の在宅就労を考える
トライアングル
機関紙『トライアングル』は三菱商事株式会社様のご協力により発行しております。

Vol.46 
CONTENTS 2009.3(平成21年)

■「在宅就業支援ガイドブック」まもなく完成!

■障害のある方の在宅勤務事例

■ニュージーランド派遣報告
 「完全なインクルージヴ社会」で学んだこと

■シリーズ第11回サポートセンター便り  「名前が変わります!」

■情報処理試験が変わります

■おめでとう

 かつて「障害者の在宅就業」の多くは、制度政策のない中ニーズに後押しされて自然発生的にうまれた草の根活動が主で、その呼び名も形態も手探りの状態が続いていました。ようやく2006年の改正障害者雇用促進法によって在宅就業支援制度が創設され、バーチャル工房事業のような公的なバックアップも整いはじめた頃、全国の支援団体のつながりが緩やかながらも広がりを見せ、交流や協働の場面も出てきました。

 今回発行する「在宅就業支援ガイドブック」は、こうした背景をもとに、昨年の夏ごろから東京コロニーが企画し、各団体の協力を得ながら制作を進めてきたものです。各地で活躍する団体に協力を求めたところ、運営ノウハウや業務ツールのサンプルに加え、在宅ワーカーたちの体験談や実績などが惜しみなく送られてきたことで、予想以上に内容の濃いものができあがりそうです。

 ちなみに本誌のデザイン・制作を手がけているのは、われらがes-team(エス・チーム)の在宅ワーカーたち。また、本人たちが日ごろの実践の中で得た、仕事に関するコツや情報源なども数多く集まってきました。本誌ではQ&Aの形でわかりやすく披露しており、現場の様子が伝わる一冊にもなることでしょう。es-teamの仕事ぶりも感じつつお読みいただくと、いっそう在宅就業の可能性を実感いただけるものと思います。もう間もなくの完成です、どうぞご期待ください!

(吉田)

在宅就業支援ガイドブック
もうすぐ完成!表紙デザインも大詰めです。

「在宅就業支援ガイドブック〜Partners2009〜」A4カラー版 36ページ 3月下旬発行予定。
○ご希望の方には無料でお送りします。詳しくは職能開発室までお問い合わせください。

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三好 亮太さん  (30代)
(外傷 1種1級)
(IT技術者在宅養成講座1999年終了)

株式会社伊藤園 情報管理部

入社時期
2003年
雇用形態
契約社員
勤務時間
10:00〜18:30
就労場所
自宅
労務管理
毎日の開始と終了時の電話 終了時には日報送信(WEBシステム)
出  社
不定期
仕事内容
伊藤園コーポレートサイトあるいはブランドサイトの更新/新規ブランドサイトのクリエイト


 今回は、清涼飲料水でおなじみの伊藤園で在宅勤務6年目になられる三好亮太さんの登場です。三好さんは、99年に東京コロニーの養成講座修了後、4年の福祉団体での勤務を経て、今の会社に。この日、東京では珍しい雪の日のご訪問となりました。

 

Q:以前の職場も含めると在宅勤務10年目ですね。ザックリとこの10年で変わったこと、変わらないことを教えてください。

 変わったのはまずインフラです。開始当初のネットはISDNだったのが、今は光ですね。マシンスペックもずいぶんと上がりました。自分のことで言えば、コミュニケーション能力の向上でしょうか(笑)。今でも電話やメールなど得意ではないのですが、好むと好まざるに関わらず、わかりやすく連絡しなければ伝わらないですからね。この「電話」の重要性はそういえば“変わらない”ことの一つでしょう。いくら技術が変わっても、文字は話し言葉に追い付けないものがあります。ちょっとしたニュアンスなど、やっぱり伝わりやすい手段なんですよね。

Q:なるほど。では、10年を通じて「頑張ったぞ」と言えるものはなんでしょう。

 体調管理でしょうか。この10年間、大きな病気とか仕事で穴をあけることがなかったんですよ。秘訣ですか? 休みは2日あったら1日は休養にあてるとか、夜更かしはなるべくしない。講習中はご存じのとおり、夜中のサッカー観戦などざらでしたが(笑)。

Q:仕事の流れを教えてください

 基本パタンは、広報部をはじめとした色々な部署から仕事の案件が上司のもとに来ます。上司は仕事を割り振ってくれるディレクターでもあります。主に在宅でサイトを制作・更新するメンバーは2名。作業ボリュームや納期を考えた上で、得意不得意も考慮して分担します。あとは指示にしたがって、Dreamweaver、Photoshop、Illustratorを駆使して、作っては直しの連続です。

Q:こうした業務に在宅で就いている方は多いと思うのですが、三好さんが考える仕事の秘訣や、これまでにそれを培うことになった転機やポイントは何でしょうか。

 相手の意図を掴むことは大変です。抽象的な表現でわかりにくい時は、「こんなことまで聞く?」って思われても恥ずかしがらず理解できるまで聞く。それを繰り返して経験というものになっていくのかなと。次に仕事の転機ですが…。

 僕は、今まで2つの事業所でお世話になってきましたが、それぞれで代え難いものを得たと思います。最初の職場での上司には、“デザインの心構え”を教えてもらいました。僕はデザインの勉強を専門にしたわけではないので、ソフトウエアの使い方はわかっても、デザイン自体「これがいいのか、悪いのか」自信がないわけです。だから、こういうことを伝えてくれる人に出会えたことは本当に大事なことでしたね。それと、今の会社では、「納期」「時間管理」そういった意識づけをきっちりと学びました。うちの職場のポリシーとして、「残業はできる限りしない」。じゃあそのためにはどうしたらよいか、それを通勤でも在宅でも皆が意識していると思います。

Q:事業所を変わるごとに新しいものを吸収されているのですね、頼もしい!。でも今の会社では在宅勤務という制度がずっと以前からあったわけではないんですよね。

 ええ。ですから最初の頃こそ古いデータを間違えてサーバーにアップしたりする単純なミスが生じたこともありました。でも、今は複数メンバーで確認作業に時間をかけていますから、相当チェック機能が働いており、ほぼこうしたミスはありません。これが現在の在宅チームワークです。始めからこうだったわけではないんですよ。

Q:在宅の社員さんと事業所さん、双方で成長されているのですね。さて、紙面もそろそろキツイので、恒例のアドバイスを後に続く皆様へ!

 通勤でも在宅でもそうだと思いますが、勤務が休みがちになると残念ながら信頼が薄れてしまいます。まずは「休まない」、「常にベストの体調を保つ」。これが一番大事です
  それと精神面ですけど。上手く行かなかったことをクヨクヨ考えていたらやっていけない。ある程度は流さないと(笑)。あ、もちろん場合によっては反省をして流す、ということですよ(笑)。
  僕は、あまり外部に「こうしてほしい、ああしてほしい」と期待するタイプではありません。ただ、会社や職場の方たちは、自分を理解して少しでも働きやすい環境を作ってくれました。やってもらったからには、それに応えようという思いは当然あります。当たり前のことかもしれませんが、こうした気持ちも大事かなと思います。


インタビューを終えて:

 訪問して講習をしていた時代から早10年が経ちました。いつまでもこっちが“生徒さん”気分が抜けないものだから、冷静にご自身や仕事のことを語るすっかり社会人の亮太さんにドッキリ。途中からわたくしが仕事の愚痴をこぼしておりました…。印象に残ったのは、上司の方や在宅勤務の同僚の方との良好な関係性です。時々、会社に“できない”“わからない”って言えずに悶々と悩まれる在宅勤務者さんがおられますが、同じ環境で同様の作業をしている同僚がいることは、こうした精神的なストレスを軽減できる一手かもしれません。もちろん、誇らしくおっしゃっていた「チームワーク」あってのことなのでしょうね。

(堀込)

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  昨年11月、内閣府「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」の派遣団の一員として、ニュージーランドの障害者福祉事情に触れるという機会を得ました。人口420万、主要産業が農林業というこの国がなぜ「福祉国家」と謳われているのか。それを象徴する風景が、ファカタネ(Whakatane)という小さな町の日常にありました。この町で様々な支援機関を訪問・見学しましたが、そのあちらこちらで同じ人と何度も出会うのです。障害のある人に対する支援サービスが多彩で、本人や支援者が選択できる裁量が幅広く、その結果、選択したサービスをフレキシブルに享受できるという国策のひとつが、地域に確実に根付いていることを実感した瞬間でもありました。

 印象的だったことをもうひとつ。ちょうど日本を発つ前日、国政選挙による「9年ぶりの政権交代」が大きく報じられました。ここで瞠目すべきは、79%という高い投票率(あくまで日本との比較において)。国政選挙に限れば平均80%を超えるとされており、「この国に学べ」というのであれば、まずここからでは?と普通に思いましたが、この参政意識の根底にある「後発の植民地政策による他民族国家」という背景を感じ、それゆえに、権利の維持と発展に対する能動性を随所で感じることとなりました。障害者福祉の分野においては、当事者たちはその声を政策に反映し、主体的な役割を担い、国政を超え国連レベルでも大きく貢献しているという話を聞き、さらに納得した次第です。

 この国も景気後退や差別問題などが深刻で、決して順風満帆とはいえないようです。それでも国は障害者長期計画の基本理念を「完全なインクルージヴ社会の実現」としており、国策の中でも優先度が高いといわれています。福祉国家ニュージーランドのステータスシンボルともいえるこの理念は、長年かけて醸成された、国民一人ひとりの権利意識によってその根幹が形成されているものと思います。最後に、今回の派遣には多くの方々の支えがありました。今後に活かすことで謝意を示していきたいと思います。

(吉田)

■詳細レポート
「障害者雇用・就労をささえる仕組みとインクルージョンの理念」(PDF)

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 東京都障害者ITサポートセンターは、次年度から、東京都障害者IT地域支援センターと名前が変わります。漢字が増えてちょっと硬い感じですが、今よりも、区市町村様とのパイプが太くなります。

 現在、遠方からわざわざ西早稲田までおいでいただく方がとても多く、できれば地元で講座が受講できたり、地域のボランティアさんにご協力をお願いできたら……ということが数々あります。そこで、これから、少しずつ、ゆっくりとにはなると思いますが、皆様が居住地のお近くで身近なサポートが受けられるよう、東京都障害者IT地域支援センターと区市町村様で効率よく連携し役割分担できれば、というのが目標です。

 名前が変わっても基本的なサービスは変わりません。これからもお気軽にご相談下さいね。

(堀込)

●東京都障害者ITサポートセンター
電話 03-3208-0471  FAX 03-3208-0472
http://www.tokyo-itcenter.com

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 2009年4月より情報処理技術者試験(国家試験)の制度が変わります。初級レベルでの主な変更点としては
・「ITパスポート試験」の新設(「初級システムアドミニストレータ試験」は今回を最後に廃止)
・「基本情報技術者試験」の言語選択に「表計算」が登場
となります。

 今回新設される「ITパスポート試験」は、技術者に限らず広くITを使う職業人をターゲットにした試験で、従来の初級システムアドミニストレータ試験より難易度が下がると考えられています。また、「基本情報技術者試験」には「表計算」の選択肢が登場したことにより、プログラマでなくても基本情報技術者にチャレンジすることも可能になります。

 これまでより多くの方々が、自分の目標にあった試験を選び、スキルアップの足がかりにできるのではないかと期待しています。なお、身体に障害がある方の受験については、従来どおり、時間延長、代理記入などの配慮を受けることができます。詳しくは以下をご覧ください。

(岩田)

新試験制度の概要

ITパスポート試験紹介サイト 

身体障害者特別措置について(PDF)

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◆東京事務代行株式会社 にて 在宅勤務決定
 T.S さん 関節リューマチ 1種1級
(職業紹介事業 2008年登録者)

T.Sさん
   

◆初級システムアドミニストレータ試験 合格
  O.A さん 筋ジストロフィー 1種1級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)

O.A さん
   

◆マイクロソフトオフィススペシャリスト Excel2003 合格
  T.D さん 筋ジストロフィー 1種1級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)

T.D さん
   
  A.M さん 両上肢、体幹機能障害 1種1級
(IT技術者在宅養成講座 受講中)
A.M さん
   

 



編 集 後 記

 昨年の秋、久しぶりに木を切りました。荒れた人工林を再生するための間伐です。お取引のある企業様のCSR活動に参加して実現。木が倒れる瞬間、ぱっと日の光が差し込み、歓声とともに空気が変わるのを肌で感じました。

 深刻な遊休林の問題や、地元の方々のご苦労に思いを馳せつつも、眠っている資源がこの先どう生まれ変わるのか、少しワクワクした心地よい晩秋の一日でした。

(吉田)

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