Vol.43
CONTENTS 2008.3(平成20年)
「障害者の在宅雇用を考える」〜新しい協働へのスタート の実施報告
昨年度より開始した在宅就労セミナーも第3回を迎えました。今回は初回と同様「雇用」について焦点をあてたものとし、事業主にとっての検討ポイントと、事例紹介を中心に据え、以下のような内容で行いました。
主催:東京労働局、社会福祉法人東京コロニー
会場:東京信用金庫本店8階ホール(池袋東口徒歩3分)
1.在宅雇用へのアプローチ講座
「在宅雇用を検討する際の基本的な手順、推進ポイントについて」
講師:市川 浩樹 氏
厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部
障害者雇用対策課障害者雇用専門官
2.パネルディスカッション
「在宅勤務者とともに働いて〜 それぞれの取り組みのご紹介」
<パネリスト>
在宅雇用のご経験のある事業主様:
島田 努 様 テクノツール株式会社 代表取締役
竹原 宏紀 様 株式会社東京放送 人事労政局人事部 担当部長
人見 裕 様 双日株式会社 人事総務部採用研修課 課長
在宅雇用で働いておられる社員様:
松尾 美千代様 株式会社テレビ朝日人事局付(テレビ朝日データビジョン出向)
終わりに書いていただいたアンケートでわかっ たのですが、参加者約100社のうち、何と1割がすでに「在宅雇用を実施」しており、4割が「検討している(したい)」ということでした。理由としては、以前から多い「社屋が車椅子対応でない」に加え、「社員の多様なニーズに応えたい」、「VDT作業の傷病休職者が相次ぐ」などが続いており、一昔前では考えられなかった時代の流れを感じます。
また、パネラーの方の「企業のマインドを変えること」という言葉に気づきがあったと答える来場者が実に多く、ハードルは高くても"変えていきたい"という事業主の方々の強い思いを会場から受け取ることができました。
在宅雇用は、技術や労働法の進歩によってとりわけ大きく変われる働き方です。これからも、その進歩を意識しながら、できるだけたくさんの事例をお届けしたいと考えています。
(堀込)
セミナーのようす
入社時期 |
2001年4月 |
雇用形態 |
正社員 |
勤務時間 |
8:30〜17:05 (1時間休憩含む) |
就労場所 |
自宅 |
労務管理 |
メールによる報告 |
出 社 |
不定期 |
仕事内容 |
流通小売のシステムの情報収集・分析 |
わかりやすく言いますと、お客様のシステムから出てくる膨大なログファイル(記録ファイル)をもとに、データを収集したりグラフ化したりする作業で、「プログラムの中でどこか処理が長引いているところがないか?」「おかしな動きをしてないか?」など分析していくものです。システム屋が見るデータですから、一般のお客様や皆さんが見ることはあまりないですね。
ええ、上司から。でも細かくは来ませんよ、メールで一行とか。
そこをインスピレーションを働かせて、「こういうことでしょう」と絶妙の呼吸でやっていくわけです(笑)。たまにガツンと言われることもありますが、見込みあるからでしょ、と思っていますよ。
基本は「残業無し」の契約なので、忙しい時は早く仕上げる工夫をしますね。
データはかなりの量ですから、文字列で検索する場合なんかは、自分で簡単なプログラムを書いて文字列操作でチャチャっとやってみる。それがうまくいって、作業を効率よくまわすことができた時は最高に面白いですよ。
上司からは時々電話で「できたか、できたか」とせっつかれますが、気合を入れてくれてるって感じてます(笑)。
みんな各自の作業でほんとに忙しいのわかっていますし、現在の上司とは長いので、それぞれの仕事のペースを理解しています。色々自分の考えや思いは本音で話せますね、聞いてくれたり、いい意味で流してくれたり(笑)。
ささやかな言葉をもらう時ですかね。大したことじゃないんですよ。出した仕事に「OK」と返ってくるとか、「いい感じにできてます」とか。「Good job」ってのもいいですね(笑)。
結局、今の仕事は、自分が「こうしたい」というのではなく、人が「こう分析したい」というものを代わって表現していくわけです。つまり人の欲しいイメージを作る喜びなんですよね。
休みの日には、「智恵の和」という技術者が自主的に集まる勉強会に出ています。
仕事にすぐに直結しないかもしれないけど、どこかにリンクする部分もあったり、今さら勉強しにくい基礎が学べたりします。なにより、「みんな頑張ってんだ、オレだけじゃないんだな」って思えるのがいい。そんな仕事以外の交流の場とか、癒やしの場があるのは大事だと思っています。
最近、働く目的ができました。給料をためて沖縄の海に潜りに行くことです。何かできるスポーツがないかなぁ?と思っていたところ同期会でわくわくするような情報をいただきました。
勢いだけで昨年3月に沖縄に初上陸し、癒しの空間に魅せられ7月にも再上陸。スポーツをして汗を流した後の食事の美味しさを思い出し、嬉しくなりました。働く目的ができるときっとがんばれますよ。
山田さんは以前郵便局で窓口業務でしたから、"役に立ってる実感"を、お客様とのやりとりの中で感じることができたそうです。「今の在宅勤務ではその実感は難しいのでは?」と言う私に、「ここでできることを毎日精一杯やる。依頼されたことをせっせとこなす。ちゃんとこなせた時が喜びですよ。基本の基でしょ」とニッコリおっしゃいました。
久々お会いしたのに今回は仕事のことばかりでしたね。次回は深海の魚の話などゆーっくり聞かせてください!
(堀込)
「短期デザイン講座」スタート!
職能開発室ではこの1月より、グラフィックデザインの分野で在宅就労をめざす方向けの新しい講座を開設しました。
この講座は、仕事としてグラフィックデザインの力を身につけたいと考えている方を対象に、技術的な習得だけでなく、プロとしての総合力をつける足がかりとなることを目的としています。現場で活躍するプロのグラフィックデザイナーを講師に迎え、仮想クライアントによる実際の仕事に即した課題を毎回(計6回)提出するなど、短期間とはいえ迫力ある内容となっているのが大きな特徴です。
受講生は自宅で課題に取り組み、課題提出→プレゼン→評価(合評)→対処を繰り返していきます。3ヶ月間と短い期間ですが、実践に近い環境に身をおくことで、たとえばお客さまのご要望を引き出すコツ、限られた条件のもとで行うノウハウ、行き詰ったときの対処法、そして自分のデザインをお客さまに伝える力やプレゼン力をつけるなど、まず自らが考えたうえで、経験豊富な講師がそれをサポートするという非常にユニークなサイクルができつつあります。受講者はいずれもグラフィックデザインの経験のある3名の方が集まりましたが、他の仕事もこなしつつ、毎回の厳しい課題に取り組むという環境の中で着実に成果をあげています。
在宅勤務による就職や就労の実績が着実にその伸びを示しているなか、最近は、求人企業等からのご要望も一層多岐にわたっています。こうした背景も手伝って開講にいたった今回の講座ですが、この分野を確実な職域にしていくことを見据えながら、引き続き実りある講座にしていきたいと思います。
(吉田)
短期デザイン講座で行われる「課題」(予定)
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第3回目の講座のようす
(アートビリティ作品をつかった課題提出)
在宅でITを学ぶ「IT技術者在宅養成講座」が、情報処理技術者試験(基本情報・初級シスアド)の午前試験免除講座として認定されたことはVol.40でお伝えしました。あれから1年余り、おかげさまで9名の合格者を出すことができました。
午前試験が免除といっても、そのためには事前に修了試験(実質午前試験)に合格しなければならず、試験の難しさは変わりません。ただ、重度の障害のある方にとっては、午前試験と午後試験を別々の日に受けられることによって、体力的負荷が軽減され、多くの合格につながったと感じています。
(岩田)
SOHOグループes-team(エス・チーム)のサイトがリニューアルしました。今回は特にアクセシビリティを重視し、多くの方に見やすく使いやすいサイトを心がけました。es-teamメンバー自身の手によるこのサイト、みなさんぜひ一度遊びに来てください!
es-team ウェブサイト
http://www.es-team.net/
◆株式会社東京放送(TBS)にて在宅勤務決定 |
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◆株式会社ホンマ にて在宅勤務決定 |
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◆基本情報技術者試験 合格 |
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◆初級システムアドミニストレータ試験 合格 |
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K.M さん 脊髄小脳変性症 1種2級 |
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K.M さん 全身性エリテマトーデス 2種3級 |
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K.C さん 疾患 1種2級 |
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H.T さん 心房中隔欠損 1種3級 |
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O.T さん 多発性硬化症 1種1級 |
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春の暖かい風の匂いをかぐと、入学や入社といった新しい環境に飛び込んだときの晴れがましくも不安な気持ちを思い出して胸がキュンとします。この春新しく何かを始める方々に幸あれ!
(岩田)