4月3日・4日の2日間、滋賀県の琵琶湖ホテルにおいて「障害のある人の情報処理教育と就労を考える
'99びわ湖会議」が開催されました。 全国から障害のある人の情報処理教育と就労に携わる関係者約80人が参集し、行政、教育機関、企業、NPOなどさまざまな立場の方からの講演やシンポジウムがありました。
労働省障害者雇用対策課からは、障害者の就労・雇用対策として、「障害者緊急雇用安定プロジェクト」の主旨や実施方法などが報告されました。
これは、企業がまず「職場実習(1ヶ月)」という形で障害者を受け入れ、修了後には、障害者雇用の専門家によるサポートを受けながら「トライアル雇用(3ヶ月)」として契約を結ぶというもので、期間中は国から企業に対して奨励金が支払われます。
このような制度の利用によって、障害者雇用の経験がない企業が、雇用の門戸を広げるきっかけになるよう期待したいものです。
「障害のある人たちの就労自立に向けた実践と自立宣言」と題したシンポジウムでは、コンピュータを活用し活躍する、障害のある方々による実践報告がありました。
シンポジストの多くは在宅就労が中心でしたが、従来からあるプログラム開発やホームページ作成といった仕事だけでなく、不動産業の経営にあたって、外での交渉をする代わりに様々な情報機器を駆使している例や、音楽活動をする中でCD制作やパンフレット印刷を在宅のグループで手がけるようになった例など、幅広い分野での就労事例が発表されました。
コンピュータの仕事ならば障害があってもできるのではないか、という発想から、社会の中に現存する様々な仕事がコンピュータを活用することによって可能になっていく、そのような時代の変化を感じます。
NPO法人WeCAN! 代表 上條氏の「障害者SOHOの取り組み」と題した講演では、企業などから受けたホームページ作成等の仕事を、コンピュータネットワークで結ばれた全国の仲間と分配して作業するという実践報告がありました。
チームで受注することにより、個人が身体的に無理をすることなく、また成果物も個人の技量によらず一定の品質を保てるという説明には、体調に不安があり就労に踏み出せない場合の一つの解決策であると改めて納得させられました。
また、働き方という意味では、二日目のシンポジウムでオフィスライン代表の林氏が報告した、在宅就労者同士が"企業組合"という形態をとることで、雇用に近い安定性を目指すという試みも新しい視点でした。
びわ湖会議は、今回をもって一旦終了するということですが、各地で障害のある方々自身による、新しい発想での就労自立に向けた旗揚げが次々となされていく中で、これからも同じ目的をもった仲間が共に情報交換をしながら議論できるような場が、何らかの形で続いていくことを期待したいと思います。
[岩田]
|