障害のない人にとっては、勉強や就労のチャンスは数多くあるにも関わらず、障害があるが故に、コンピューターについて勉強したい、仕事がしたいというささやかな願いをかなえることが困難な状況にあります。
トーコロ情報処理センターでは、このような重度の身体障害のある人を対象に、平成元年度から東京都からの補助事業として、『重度身体障害者在宅パソコン講習事業』を実施しております。
本講習事業の目的は、
[1]日常的に少しでも役立つコンピューター操作技術の習得と
コンピューターの活用
[2]プログラム作成に必要な知識・技術の習得を図る
の2点を可能にすることです。
更に付随して、パソコン通信の技術得ることにより、情報面での行動範囲の拡大を図ることも目的としています。
また、就労や生きがい活動を遂行するために必要な社会性も同時に身に付けてもらうことを目標としています。
講習内容は、以下の通りです。
講習期間
2年間(1日4時間から6時間、週22時間程度在宅で学習)
カリキュラム
1年目
コンピューターの基礎知識を身につける
在宅講習に必要な事柄の習得
コンピューターの基礎知識(ソフト/ハード/情報処理一般)
情報処理試験第2種共通テキスト利用
2年目
[1] アプリケーションソフトコース
・ワープロ、表計算、データベース等各種基本ソフトの習得
・各種アプリケーションソフトの習得
DTP
ネットワーク
マルチメディア等
[2] プログラマーコース
・プログラミング(C言語)、VisualBasic言語
・効果的なテスト項目の作成
・デバックの方法を身に付ける
・ソフトウエアの品質
・プログラム書法
また、在宅で学習を行うため、日々の学習報告や質疑応答、課題の提出などは、パソコン通信を利用します。更に、定期的な巡回指導や必要に応じ集中講義などを実施しています。
現在10人の講習生が在籍していますが、そのほとんどは車椅子を利用しています。在宅で学習する事は高いレベルの計画性や自己管理などが要求されますが、彼らはそのハードルを見事にクリアし、日々の学習に意欲的に取り組んでいます。
来年春には、4人の講習生が修了しますが、修了後は在宅で仕事がしたいと願ってもまだまだ重度身体障害者の就労環境は立ち後れているのが現状です。
雇用する事業主にとっても見知らぬしかも重度な障害者を雇い入れる事はかなりのリスクを背負うことになるかと思うのですが、先ずは働く経験をさせる機会を彼らに提供して頂きたいと思っております。
障害者と健常者が共に働くことで必ずやお互いにプラスになるものと信じています。
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