ここでは、2.1で触れた課題を、あらためて支援者側から見直し記述していきたい。
在宅就業支援団体として登録している団体のみならず、未登録の団体も広く対象とする。
(1) 支援者の整理
① 組織の属性
表1および表2の組織形態と取り組み期間からわかるように、在宅就業支援団体に登録している団体は、未登録団体と比較して社会福祉法人が多い傾向にあり、10年以上前からこの種の実践をやっている組織もある。が、全体としては圧倒的に特定非営利活動法人(NPO)が多く、ITという日進月歩の技術を作業ツールとして戦力にしながら、ここ数年で新たな組織が増えてきていることがわかる。
表1 団体(あるいは運営母体)の組織形態(登録団体)
形態 | 団体数 |
---|---|
特定非営利活動法人 | 5 |
社会福祉法人 | 5 |
株式会社 | 1 |
団体(あるいは運営母体)の組織形態(未登録団体)
形態 | 団体数 |
---|---|
特定非営利活動法人 | 12 |
社会福祉法人 | 1 |
国立病院 | 1 |
財団法人 | 1 |
表2 在宅宅就業支援の取り組み期間(登録団体)
年数 | 団体数 |
---|---|
10年以上 | 2 |
5年以上〜10年未満 | 2 |
5年未満 | 7 |
在宅宅就業支援の取り組み期間(未登録団体)
年数 | 団体数 |
---|---|
10年以上 | 0 |
5年以上〜10年未満 | 3 |
5年未満 | 6 |
不明 | 6 |
② 組織のサービスの形
在宅就業支援団体の核となるサービスは、1章に記したように、障害者雇用促進法(74条)にて、「教育・訓練」「仕事の発注、請負の支援」「雇用に結びつけるための支援・相談」が登録要件として課せられおり、登録団体は全てこれを実践している(詳細は2章参照)。調査結果では、回答してくれた未登録団体も、表3のように、雇用支援が若干少ないもののほぼ同様の取り組みをしていることがわかる。
表3 在宅就業支援で行っている支援サービス (未登録団体)
支援内容 | 団体数 |
---|---|
在宅就労を目標とした教育・訓練を行っている | 9 |
登録している在宅就業障害者に仕事を発注し、請負の支援を行っている | 11 |
在宅雇用に結びつけるための支援・相談等を行っている | 4 |
その他 | 1 |
双方の団体に言えるのは、表4の「在宅就業に携わる職員数」に示されているように、これだけの支援サービスを行っていながら担当者の人数が少ないことである。表中に担当職員が「10名以上」という組織が1つだけあるが、これは利用者が健常者中心の事業であり、障害のある方の支援者ということではない。また、職員数が「3名」あるいは「4名」と回答している団体も、ヒアリングでの確認では、専従職員は1名あるいは2名といったところであった。
表4 在宅就業に携わる職員数
(登録団体)
人数 | 団体数 |
---|---|
10名以上 | 1 |
5名 | 1 |
4名 | 2 |
3名 | 5 |
2名 | 1 |
1名 | 1 |
(未登録団体)
人数 | 団体数 |
---|---|
4名 | 2 |
3名 | 1 |
2名 | 3 |
1名 | 3 |
全員ボランティア | 1 |
不明 | 5 |
一方、この少人の職員数で支援している利用対象者の数はというと、次の表のような状況である。
表5 対象者の人数 (登録団体)
合計人数 | 団体数 |
---|---|
50人以上 | 2 |
30人以上50人未満 | 0 |
10人以上30人未満 | 8 |
10人以下 | 0 |
不明 | 1 |
対象者の人数 (未登録団体)
合計人数 | 団体数 |
---|---|
50人以上 | 2 |
30人以上50人未満 | 1 |
10人以上30人未満 | 6 |
10人以下 | 2 |
不明 | 4 |
1章で記したように、登録団体は対象者「常時10人以上」という規定があるので、ほとんどの団体が10人〜20人程度を対象としている。
登録団体では、対象者に対しては面談や評価を踏まえた上で「メンバー登録」という制度を取っているが、未登録団体では、ネット上での任意登録や仕事単位で発注者を決めているところもあり 、一人ひとりの対象者と団体の関係性は必ずしも同じというわけではない。中には「障害の種別や等級は詳しく問わず(E団体)」、希望者をなるべく受け入れ、できるだけ多くの方が「参加」し「体験」できることを重視する団体もあった(表6)。
表6 発注は、登録制か否か(未登録団体)
支援内容 | 団体数 |
---|---|
登録制 | 9 |
登録制でない | 2 |
発注はやっていない | 4 |
各団体のそもそもの支援の背景や色合いも様々であり、次ページの表7の「在宅就業支援以外の事業」を見ると、本来の得意分野やこれまでの軌跡が垣間見える。登録団体では昔から職業能力開発そのものを本業としていた組織が多い。全体的には、ITの利活用に即した機器の支援事業の類が多いが、ITとは関係のないオープンな相談支援を地域で行っている組織もある。
表7 在宅就業支援以外の事業 (登録団体)
事業 | 団体数 |
---|---|
IT研修(WEB制作など)、職業能力開発 | 6 |
福祉機器販売 | 1 |
障害者、その家族に対する相談事業 | 1 |
在宅就業支援以外の事業 (未登録団体)
事業 | 団体数 |
---|---|
IT講習、研修 | 3 |
福祉機器開発あるいは販売 | 1 |
インストラクター派遣 | 1 |
ジョブコーチ派遣 | 1 |
PC活用普及、啓発活動 | 2 |
スイッチ適応、シーティング等 | 1 |
パソコンボランティア養成 | 1 |
地域活動支援 | 1 |
レンタカー事業 | 1 |
障害者雇用・就業支援ネットワーク事業 | 1 |
障害者専門職業紹介事業 | 1 |
障害者しごと支援員活動事業 | 1 |