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重度障害者の在宅就業において、福祉施策利用も視野に入れた就労支援のあり方に関する調査研究

1.3「在宅就業支援団体」、どこへ行く 〜今後の課題〜

 在宅就業支援制度という形が生まれ、徐々に認知されるようになってからは、それまで雇用中心に進められてきた就労支援政策にも変化が見られ、特に働くことを希望する人たち、すなわち、時間的制約や移動困難のある方にとっては朗報でもあった。「在宅で仕事を請け負う」というSOHO型のワークスタイルは、働く選択肢のひとつとして大きく期待されるようになった。また、業種・職種のほか、団体の運営手法における多様性も見られるようになり、これら団体のなかには民間企業が運営するもの、福祉就労施設と併設して行うものなど、それぞれが工夫を凝らして制度を幅広く活用し、これが後進のモデル的な役割を果たすという循環も伺えるようになった。

 しかし一方で、多くの課題も浮き彫りになった。その一部は特に深刻化の様相を呈しており、在宅就業支援団体は大きな問題を抱えるようになった。すなわち、ひとつは発注に対する報償制度の条件が限定的で、大きな取引に偏りがちな点。もうひとつは運営基盤について各団体に任せきりの点であり、そしてもっとも大きな問題点とされるのは、政策としての将来図が見えなくなり始めた点である。多様な受け皿として最低限必要と思われる「全国で100団体」という政府レベルの目標もあったが、現在は道筋そのものがなく、制度創設から3年という一区切りのサイクルを経てなお検証する機会も失われている。他にも特例調整金・報奨金の対象となった実績がこの3年度間の延べ件数で13件(図3)という事実や、登録団体のなかには、志をもちながらも運営上疲弊し、やむなく団体登録を解消したところもあるなど、問題の根深さを語る要素がいくつか見られる。特に運営や営業活動上の課題は各団体に共通しているもので、求められる役割の大きさや、在宅就業を希望する人の期待度とは裏腹に、おおむねどこの団体も小規模の人数で相当に幅広い業務を行っているという実態が浮き彫りになってきた(2章におけるアンケート・およびヒアリング結果を参照)。

図3 制度開始から3年度間における特例調整金等の支給実績(厚生労働省資料)

06年度 07年度 08年度
特例調整金 件数 なし 5件 5件
支給総額 567千円 756千円
特例報奨金 件数 なし 1件 2件
支給総額 51千円 102千円

 また、別の側面として注視すべきは、こうした実情について広く論じられたり、対策を講じたりすることがなかったこともあげられる。2章以降で述べていくが、まずはこうした実情の把握が急務であり、調査やヒアリングを基にしてそこから見えてきた課題を整理し、この先の在宅就業支援制度、ひいては在宅就業は誰がどう支えていくか、その焦点を明確にすることが喫緊といえる。幸いにも、本研究のアンケートやヒアリング調査の結果、未登録団体の中にも新旧の団体が各地でさまざまな活動を行っている事例や、自治体や地元企業のタイアップによる発注奨励の事例のほか、障害者自立支援法に定める就労移行支援や就労継続支援の事業者による在宅就労支援例なども見られ、今後はこうした活動、特にこれまであまり見られなかった、いわゆる福祉就労分野との連携を見据えていくことが必要になるものと思われる。

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