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見通せない経済のもとで

『コロニーとうきょう111号』1999年01月

 当法人も今年で48年目を迎えました。あと2年で半世紀となります。何度か谷底を経験しながらも、今の規模まで拡大しました。
 そして現在も、世界的規模での経済構造の変革過程の中で、谷底を味わいつつあります。谷から山へと懸命の努力を続けています。ようやく光が見え隠れするところまで辿りついたといえるようになったのではないかと思います。
 しかし、この国の経済の下部構造に生じている質的変化に、上部構造が整合するまでには、まだ相当の期間がかかるとみられることから、この時代的変化に適応できない、現に存在するもろもろの事象が飛ばされ、消されていくことは必然です。
 当法人の事業は、一般の授産施設(社会就労センター)のように、不況を作業者工賃の引き下げで処理し、決して赤字を出さない方法をとる施設と異なり、一般産業と同じ事業経営体であるために、経済の構造変化の過程に生じている不況をまともに受けざるを得ません。
 今の不況が単なる景気循環的なものでなく、構造そのものから発生していることを、より深刻に受けとめておくことが大切であると思っています。
 世の経済評論家の将来予測は、当たったことがありません。政府の景気見通しさえ、いい加減なものであることが、白日のもとにさらされました。したがって、経済については自分の判断しかありません。できるだけ多くのものを読んで、その中から切り貼りをして自分の判断をつくるしかないのが現実です。
 事業経営をする以上、これからの経済について、なにもわからないではやっていけませんが、素人の勝手な判断もかえって道を誤ります。ここがきびしいところですが、結局私たちは平凡な生活感覚や嗅覚などで判断していくしかないでしょう。そう覚悟するしかありません。

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 政府は、橋本内閣のときの行財政改革の大合唱から、財政改革を凍結し、借金による大規模な財政出動を進めています。この手法で、景気は多少よくなると言われており、私もそう思いますが、これは一時的なものと考えておかなければならないでしょう。
 大量生産、大量消費、大量廃棄の経済政策、消費しなければ景気がよくならない、そういう経済からの転換こそ、世界的規模での必要な施策となっていると思うからです。
 この意味で、政府の従来型の景気対策では一時的な効果しかないとの指摘には説得性があります。
 そう考えていくと、これからの経済は、現在以上に消費が増えていくとは思えませんし、消費の内容も変っていくでしょう。
 前提を、おおよそこのように立てて、これからの当法人の事業を進めていかなければならないと思います。
 印刷事業は引き続いて質的な転換を進めること。売り上げを減らさず、できるだけ伸ばす方途を講じながら、規模の縮小を図っていくことになると思います。その理由は身体障害者の雇用対策がかなり進んで、印刷技術をマスターできる身体障害者の施設利用が減る傾向にあるためです。
 そのほかの事業も、これからの社会就労センターの利用者が、知的障害や精神障害のある人々の比重が高くなる見通しであることを念頭において、経済の先行きを見つめながら、新しい仕事の開拓をしていかなければならないと思います。
 中野工場の旧館(社会事業授産施設)の全面改築はそう遠くない時期に実施しなければなりませんが、その機会に、知的障害者や精神障害者の利用拡大に向けての対応を行うことになると思います。
 当法人が長い間培ってきた企業的手法は、新しい施設の青葉ワークセンターでも実際に生かすことができつつありますが、これからも大切に守っていかなければならない原点です。
 複雑で、先行きの見通せない経済環境のもとで、苦しさに耐えて頑張っていきたいと思っています。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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